rrbのブログ - 2009/05/27のエントリ
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天を仰いで思うこと たも 2009/05/27 12:00 am
たも
「音頭してタモ(音頭をとってください)」「食べてタモレ(食べてください)」「してください」の意味。洛北で使用。給(たも)るのめ命令形に基づく。目下の者に「こうしてタモ」のように言い、御所ことばで明治時代にも用いた。『曽根崎心中』に「一部始終を聞いてたも」とある。御所ことばにある「出ましゃてイタダカサレ(出てくださいませ)」のイタダカサレは、目上に話す丁寧な表現である。(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)
しばらくの間、コメント欄を閉じます。ご容赦ください。
四方山話(37)
ぼやき漫才に思うこと (エキサイト 2008年5月13日掲載)

かつて、世相を槍玉に上げては、とんちんかんな難癖を付ける「ぼやき漫才」というのがあった。その第一人者といえば、人生幸朗と生恵幸子の夫婦コンビだという。1982(昭和57)年に幸朗が他界した後には、継ぐ者が殆どおらず廃れてしまった。世相や社会の出来事にツッコミを入れて、ボヤイたり、思い切りこきおろしたりして大いに笑わせた。
その進行の一例は、
幸朗:「浜の真砂は尽きるとも世にボヤキの種はつきまじ」と石川五右衛門の辞世の句を捩る
幸子:「キザなこと言うなこのハナクソ!」とすかさず突っ込む。
幸朗:「わたしのこと、みなボヤキやあ、ボヤキやあ言うてねぇ」
幸子:「当たり前や。誰かて言わはるわ。ボケ!」
幸朗:「しかし、みなさん、これは私がボヤクのやのうて、今の世の中が私をボヤかしまんねん」
というパターン。
そして「まぁ皆さん聞いてください」と聴衆に語りかけ、その当時の世相・ニュースを斬り始める。今、ボヤキたくなることがあまりに多い世相となってしまったように思う。先行き不透明になってきた年金問題も、幸朗師匠が生きていたらネタにしたに違いないだろう。「宙に浮き、消えてほしいのは社会保険庁」とでも言ったか、どうか。

偽装問題も、ボヤカずにはおられないだろう。食品表示の偽装に始まって、耐火建材や橋梁型枠の品質偽装があった。これで終わりかと思ったら、製紙業界の有力企業が再生紙の古紙配合率を偽装していたことが明るみに出た。こちらは「一流企業がいったい何してんのや」「頭下げるだけやったら、だれでもできる」などのセリフが飛び出すのだろうか。いや、もっと鋭いツッコミが出たかもしれない。
世界的な投機マネーのために原油や小麦が高くなり、庶民の台所にも影響が大きい。米海兵隊員の少女暴行事件も許せない。「ええ加減にせんかい。ほんまに怒るで」という声が聞こえてきそうだ。天国で「ボヤキより、怒りぶちまけの漫才がいるんやろうな」とボヤイているのかもしれない。
そして、再び、高級料亭「船場吉兆」の客の食べ残した食材を別の客に出していたことが明らかになった。本店を含む全料亭で使い回しが行われていた。ボヤキが最高潮に達した時、幸朗の「責任者出てこい!」のセリフとともに締の一節を述べる。

(神戸) カメラ/EPSON R-D1s レンズ/NOKTON classic 35mm F1.4
「笑え、笑え、笑う門には福来る。皆様のご健康とご発展とを心よりお祈り申し上げ、ボヤキ講座予定終了でございます」 この「責任者出てこい!」のセリフによってストレスを解消した「ぼやき漫才」。責任者が出てきても、その口から出る言葉は眉唾物が多く、ストレス解消にはならないかも…。今、世間では新型インフルエンザの発症にピリピリとした状態。一時の間でも「笑い」が欲しい…と、天を仰いで思うこと。

「音頭してタモ(音頭をとってください)」「食べてタモレ(食べてください)」「してください」の意味。洛北で使用。給(たも)るのめ命令形に基づく。目下の者に「こうしてタモ」のように言い、御所ことばで明治時代にも用いた。『曽根崎心中』に「一部始終を聞いてたも」とある。御所ことばにある「出ましゃてイタダカサレ(出てくださいませ)」のイタダカサレは、目上に話す丁寧な表現である。(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)
しばらくの間、コメント欄を閉じます。ご容赦ください。
四方山話(37)
ぼやき漫才に思うこと (エキサイト 2008年5月13日掲載)

かつて、世相を槍玉に上げては、とんちんかんな難癖を付ける「ぼやき漫才」というのがあった。その第一人者といえば、人生幸朗と生恵幸子の夫婦コンビだという。1982(昭和57)年に幸朗が他界した後には、継ぐ者が殆どおらず廃れてしまった。世相や社会の出来事にツッコミを入れて、ボヤイたり、思い切りこきおろしたりして大いに笑わせた。
その進行の一例は、
幸朗:「浜の真砂は尽きるとも世にボヤキの種はつきまじ」と石川五右衛門の辞世の句を捩る
幸子:「キザなこと言うなこのハナクソ!」とすかさず突っ込む。
幸朗:「わたしのこと、みなボヤキやあ、ボヤキやあ言うてねぇ」
幸子:「当たり前や。誰かて言わはるわ。ボケ!」
幸朗:「しかし、みなさん、これは私がボヤクのやのうて、今の世の中が私をボヤかしまんねん」
というパターン。
そして「まぁ皆さん聞いてください」と聴衆に語りかけ、その当時の世相・ニュースを斬り始める。今、ボヤキたくなることがあまりに多い世相となってしまったように思う。先行き不透明になってきた年金問題も、幸朗師匠が生きていたらネタにしたに違いないだろう。「宙に浮き、消えてほしいのは社会保険庁」とでも言ったか、どうか。

偽装問題も、ボヤカずにはおられないだろう。食品表示の偽装に始まって、耐火建材や橋梁型枠の品質偽装があった。これで終わりかと思ったら、製紙業界の有力企業が再生紙の古紙配合率を偽装していたことが明るみに出た。こちらは「一流企業がいったい何してんのや」「頭下げるだけやったら、だれでもできる」などのセリフが飛び出すのだろうか。いや、もっと鋭いツッコミが出たかもしれない。
世界的な投機マネーのために原油や小麦が高くなり、庶民の台所にも影響が大きい。米海兵隊員の少女暴行事件も許せない。「ええ加減にせんかい。ほんまに怒るで」という声が聞こえてきそうだ。天国で「ボヤキより、怒りぶちまけの漫才がいるんやろうな」とボヤイているのかもしれない。
そして、再び、高級料亭「船場吉兆」の客の食べ残した食材を別の客に出していたことが明らかになった。本店を含む全料亭で使い回しが行われていた。ボヤキが最高潮に達した時、幸朗の「責任者出てこい!」のセリフとともに締の一節を述べる。

(神戸) カメラ/EPSON R-D1s レンズ/NOKTON classic 35mm F1.4
「笑え、笑え、笑う門には福来る。皆様のご健康とご発展とを心よりお祈り申し上げ、ボヤキ講座予定終了でございます」 この「責任者出てこい!」のセリフによってストレスを解消した「ぼやき漫才」。責任者が出てきても、その口から出る言葉は眉唾物が多く、ストレス解消にはならないかも…。今、世間では新型インフルエンザの発症にピリピリとした状態。一時の間でも「笑い」が欲しい…と、天を仰いで思うこと。

