rrbのブログ - 2009/07/16のエントリ
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今京都 おため 2009/07/16 12:00 am
おため
贈り物を受けたときに出す返礼の品。贈り物を持参した人に「ちょっと待っておくれやす。オタメ入れさせてもらいますよって」といい、オタメガミを進物の盆の上に載せて渡した。オタメガミは半紙を二枚四つ折りにしたもの。かつて京都御所ではオトビ・トビと言った。宮廷の公式日記『お湯殿(ゆどの)の上(うえ)の日記』にも記される。オウツリともいう。オツリと同じく釣り合いを保つの意味からである。(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)
★関連記事はここ(←クリック)
しばらくの間、コメント欄を閉じます。ご容赦ください。
もうひとつの五山 (旧フォトヴィレッジ 2007年8月22日掲載)
先日に続いて、もうひとつ大文字のお話。それは「雪大文字」。五山の楽しみ方は夏の夜の炎に浮かび上がる文字だけではない。冬の朝、里に薄っすらと雪が積もった日には、「大」の字がくっきりと白く雪で浮かび上がる。それは日差しを浴びると消えてしまいそうな、朝のひとときの美しさ。人々はそれを「雪大文字」と呼んで「雪大文字を見た日はええことがおすえ」と言い合ったという。残念なことに「雪大文字」は最近撮れていない。地球温暖化による影響からか、京都は雪が減った。少し積もったと思っても、写真が撮れる光の当たり具合になるまでは溶けてしまう。

調べて見ると大文字にまつわるおまじないは「雪大文字」以外にもたくさんある。
「お盆やお椀に水を入れて、『大』の字を映して飲むと、その年は一年中風邪を引かない」
「燃え盛る大文字の火影を、盃に映して飲み干すと、中風にならない」
「茄子に穴をあけて大文字を見ると、目を患わない」
「燃焼し尽くして炭になった送り火の燃え木は、家の魔除けになる」
「松が燃えた後の消し炭は、粉にして飲むと胃の薬になる」
「大文字の消し炭や灰は、中風や痔の薬になる」
などなど。また、送り火の翌朝は、燃え木を拾って除災招福を願おうと、早朝から山に登る人が後を絶たない。大文字のおまじないは、今も信じる人が多いのか、燃え木も消し炭も一夜のうちになくなってしまうという。少し前までは、送り火の点火時間が近づくと、潮が引くように街の灯が消えて、それもまた風情だった。最近は、点火時間が迫っても、街の灯が消える気配もなく、実際に消えていない。

この風情ある夏の壮大な炎のページェントをもっと楽しむために、「外灯や家の灯を消して、大文字五山送り火を拝むと、願いがかなう」なんておまじないを加えたい気もする。また五山送り火の「大」の字が「太」や「犬」になった時がある。当然、わざと「太」「犬」としたわけでなく、風で飛ばされた炎のイタズラ。「大」以外の文字となった時は何か不吉なことがあるかも知れないと心配したけれど、結局、良いことも悪いこともなかった。「大」以外の文字に化けることは無かった今年の五山送り火。このように五山は8月16日の夜のイベントだけでなく、日々の生活に溶け込んで京都の街を優しく見守っている。京都で暮す人々の心の支え、見上げればいつもそこにある存在。どのようにして始まったのか不明ではあるが、太古の時代から人々の暮らしとともに守られてきた。そして、まるで駅伝のたすきのように時代から時代へその文化が継承されているのは確かである。これこそ歴史都市京都の真髄かも知れない…今京都。

贈り物を受けたときに出す返礼の品。贈り物を持参した人に「ちょっと待っておくれやす。オタメ入れさせてもらいますよって」といい、オタメガミを進物の盆の上に載せて渡した。オタメガミは半紙を二枚四つ折りにしたもの。かつて京都御所ではオトビ・トビと言った。宮廷の公式日記『お湯殿(ゆどの)の上(うえ)の日記』にも記される。オウツリともいう。オツリと同じく釣り合いを保つの意味からである。(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)
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もうひとつの五山 (旧フォトヴィレッジ 2007年8月22日掲載)
先日に続いて、もうひとつ大文字のお話。それは「雪大文字」。五山の楽しみ方は夏の夜の炎に浮かび上がる文字だけではない。冬の朝、里に薄っすらと雪が積もった日には、「大」の字がくっきりと白く雪で浮かび上がる。それは日差しを浴びると消えてしまいそうな、朝のひとときの美しさ。人々はそれを「雪大文字」と呼んで「雪大文字を見た日はええことがおすえ」と言い合ったという。残念なことに「雪大文字」は最近撮れていない。地球温暖化による影響からか、京都は雪が減った。少し積もったと思っても、写真が撮れる光の当たり具合になるまでは溶けてしまう。

調べて見ると大文字にまつわるおまじないは「雪大文字」以外にもたくさんある。
「お盆やお椀に水を入れて、『大』の字を映して飲むと、その年は一年中風邪を引かない」
「燃え盛る大文字の火影を、盃に映して飲み干すと、中風にならない」
「茄子に穴をあけて大文字を見ると、目を患わない」
「燃焼し尽くして炭になった送り火の燃え木は、家の魔除けになる」
「松が燃えた後の消し炭は、粉にして飲むと胃の薬になる」
「大文字の消し炭や灰は、中風や痔の薬になる」
などなど。また、送り火の翌朝は、燃え木を拾って除災招福を願おうと、早朝から山に登る人が後を絶たない。大文字のおまじないは、今も信じる人が多いのか、燃え木も消し炭も一夜のうちになくなってしまうという。少し前までは、送り火の点火時間が近づくと、潮が引くように街の灯が消えて、それもまた風情だった。最近は、点火時間が迫っても、街の灯が消える気配もなく、実際に消えていない。

この風情ある夏の壮大な炎のページェントをもっと楽しむために、「外灯や家の灯を消して、大文字五山送り火を拝むと、願いがかなう」なんておまじないを加えたい気もする。また五山送り火の「大」の字が「太」や「犬」になった時がある。当然、わざと「太」「犬」としたわけでなく、風で飛ばされた炎のイタズラ。「大」以外の文字となった時は何か不吉なことがあるかも知れないと心配したけれど、結局、良いことも悪いこともなかった。「大」以外の文字に化けることは無かった今年の五山送り火。このように五山は8月16日の夜のイベントだけでなく、日々の生活に溶け込んで京都の街を優しく見守っている。京都で暮す人々の心の支え、見上げればいつもそこにある存在。どのようにして始まったのか不明ではあるが、太古の時代から人々の暮らしとともに守られてきた。そして、まるで駅伝のたすきのように時代から時代へその文化が継承されているのは確かである。これこそ歴史都市京都の真髄かも知れない…今京都。

