rrbのブログ - 2008/06/12のエントリ
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実事求是2008/06/12 12:05 am
じつじきゅうぜ…事実に基づいて真理を探求すること。先入観や風説を排し、真実を追い求めようとする姿勢。
◇ちょっと予備知識 → 「実事」は本当のこと。「求是」は真実を求めること。
几帳面
「きちょうめん」な性格、「きちょうめん」な人、などとこの言葉、現在でも日常的によく使われる。漢字で書けば「几帳面」。だが、あまりにも身近すぎて「几帳面」という意味ありげな漢字を振り返ってみることなど、これまで一度もなかった。
意外や意外、「几帳面」は古めかしい言葉である。その意味あいは、文字通り「几帳」の面をさすという。まずは「几帳」とは何かである。
「几帳」は平安時代の衝立といえばいい。源氏物語絵巻などで、十二単のお姫様のそばに描かれている。美しい絹織り布を垂らした間仕切りのような、移動式カーテンともいわれる室内調度品。平安時代の貴婦人はいつもそばに「几帳」を立て、自分の姿を外から直接見られないようにしていた。華やかな「几帳」のかげに女性がいる、そのことだけで「几帳」は存分になまめかしさを漂わせていたのだった。
そのためか「几帳」はその造りも、仕上げも、すこぶる入念なものであった。平安時代に既にこんな職人技が発揮されていたのだ。「几帳」は台木の上にT字型の細い柱を組み、そこに絹布を垂らす構造。その柱の仕上げに、ふつうなら角にカンナをあてて削るだけのところを、撫角(なでかく)といって角を円くし、その両側に段(きだ)と呼ばれる切れ目をつけた。
すなわちこれが「几帳面」。この細工は面が正確に削られていないとできないところから、「几帳面をとる」といえば、このように面を正確に仕上げることをさすようになった。
全ては女性を優美になまめかしく演出するための手技。また絹織り布といえば当時は貴重なもの。面をなめらかに仕上げなければ、風でゆらぐたび絹が柱にふれて傷んでしまう。デリケートな絹が「几帳面」さを要求したともいえる。
1603(慶長8)年刊の『日葡辞書』(日本語・ポルトガル語辞書)は、当時の標準語であった京ことばを中心に集めているが、そのなかにも「キチョウメンヲトル」は登場している。このようにして、当初は面をさすことばだった「几帳面」が、やがては「きちんとした性格」をさすようになった。
それにしても平安時代の絵巻物の世界に「きちょうめん」の語源があったとは。しかも、あの夢物語のような絵巻物のなかで、すでに大工や指物職人が理にかなった技を発揮して、ものすごく「きちょうめん」な仕事をしていたわけだ。日本人の器用さのルーツを見る思いがする。
いずれにしても「几帳面」は、意外なことに語源が京都にあった言葉のお話vol.21…今京都。前回の語源は>「やまやま」(←クリック)。 ※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。
◇ちょっと予備知識 → 「実事」は本当のこと。「求是」は真実を求めること。
几帳面
「きちょうめん」な性格、「きちょうめん」な人、などとこの言葉、現在でも日常的によく使われる。漢字で書けば「几帳面」。だが、あまりにも身近すぎて「几帳面」という意味ありげな漢字を振り返ってみることなど、これまで一度もなかった。
意外や意外、「几帳面」は古めかしい言葉である。その意味あいは、文字通り「几帳」の面をさすという。まずは「几帳」とは何かである。
「几帳」は平安時代の衝立といえばいい。源氏物語絵巻などで、十二単のお姫様のそばに描かれている。美しい絹織り布を垂らした間仕切りのような、移動式カーテンともいわれる室内調度品。平安時代の貴婦人はいつもそばに「几帳」を立て、自分の姿を外から直接見られないようにしていた。華やかな「几帳」のかげに女性がいる、そのことだけで「几帳」は存分になまめかしさを漂わせていたのだった。
そのためか「几帳」はその造りも、仕上げも、すこぶる入念なものであった。平安時代に既にこんな職人技が発揮されていたのだ。「几帳」は台木の上にT字型の細い柱を組み、そこに絹布を垂らす構造。その柱の仕上げに、ふつうなら角にカンナをあてて削るだけのところを、撫角(なでかく)といって角を円くし、その両側に段(きだ)と呼ばれる切れ目をつけた。
すなわちこれが「几帳面」。この細工は面が正確に削られていないとできないところから、「几帳面をとる」といえば、このように面を正確に仕上げることをさすようになった。
全ては女性を優美になまめかしく演出するための手技。また絹織り布といえば当時は貴重なもの。面をなめらかに仕上げなければ、風でゆらぐたび絹が柱にふれて傷んでしまう。デリケートな絹が「几帳面」さを要求したともいえる。
1603(慶長8)年刊の『日葡辞書』(日本語・ポルトガル語辞書)は、当時の標準語であった京ことばを中心に集めているが、そのなかにも「キチョウメンヲトル」は登場している。このようにして、当初は面をさすことばだった「几帳面」が、やがては「きちんとした性格」をさすようになった。
それにしても平安時代の絵巻物の世界に「きちょうめん」の語源があったとは。しかも、あの夢物語のような絵巻物のなかで、すでに大工や指物職人が理にかなった技を発揮して、ものすごく「きちょうめん」な仕事をしていたわけだ。日本人の器用さのルーツを見る思いがする。
いずれにしても「几帳面」は、意外なことに語源が京都にあった言葉のお話vol.21…今京都。前回の語源は>「やまやま」(←クリック)。 ※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。
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