rrbのブログ - 一言半句
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一言半句2008/04/05 12:04 am
いちごんはんく…ほんのわずかなことば。短い一言。
◇ちょっと予備知識 → 「一言」は「いちげん」とも読む。「半句」は「一句」ともいう。
「一言半句も・・・ない」などと下に打ち消しのことばを伴って使うことが多い。
類義語に一言片句(いちごんへんく)・片言隻句(へんげんせきく)がある。
対義語は千言万語(せんげんばんご)。
気質

「気質」と書いて「カタギ」と読む。考えてみればこの読み方も変。「キシツ」と素直に読めばいいものだが、なにゆえに「カタギ」になってしまったのか。

1885(明治18)年までさかのぼると、坪内逍遥は『当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ)』という本を書いた。さらに時代をさかのぼると、江戸時代には「気質」という言葉が流行語だったようだ。
江戸時代の出版界では「気質物」といわれる一連の小説がもてはやされていたみたい。『世間子息気質』『世間娘容気』『浮世親仁形気』などとある。カタギの漢字は「気質」「容気」「形気」といろいろでも全てカタギと読んだという。そして、これらの小説の内容は「いまどきの息子は、娘は…」というものだ。

さて、「気質」も「容気」も「形気」もすべてカタギであった江戸時代から、さらにさかのぼって鎌倉時代。
当時の辞書である『字鏡』に、カタギは「形木」としてすでに載っている。その意味は「模 法ナリ形ナリ象(かたち)ヲ取ル也。加太木」と説明されている。
「形木」とは、さまざまな模様を彫った木の面に糊をおき、布に貼ってその上から染め付ける型染め用の木型、すなわち形木をさすようだ。

さらに古く平安時代。『宇津保物語』には「形木の紋を織りつけたるみ狩の法衣」という一文があって、ここに形木が登場する。『枕草子』にも「なまめかしきもの」の条、第90段に「かた木のかたは絵にかきたり」とあるのが形木だという。これらの舞台は全て京の都と考えられる。

平安時代、すでに行われていたという型染め技術。カタギのルーツは、京の染め織りの歴史にあった。
そういえば「形木」は染織だけではない。京のお菓子づくりにも、菓子木型という精巧な「形木」がある。出版に使われた版木も「形木」の一種
。こうして京の職人たちがつくりあげた一定の型、規範をさす「形木」が、次第に実物から離れて「形気」「容気」となり、やがて目には見えない性分・気質をさすようになった成り行きは京の職人気質を思えば手に取るようによくわかる。

カタギは京の職人にはじまり、江戸にでて流行語となり、平成の世に再び職人世界に落ち着きつつある。現在「気質」といって、京の職人気質が思い浮かぶのは、語源がえりしているということか。いずれにしても「気質」は、意外なことに語源が京都にあった言葉のお話vol.16…今京都。前回の語源は「金輪際」(←クリック)。※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。
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◇ちょっと予備知識 → 「一言」は「いちげん」とも読む。「半句」は「一句」ともいう。
「一言半句も・・・ない」などと下に打ち消しのことばを伴って使うことが多い。
類義語に一言片句(いちごんへんく)・片言隻句(へんげんせきく)がある。
対義語は千言万語(せんげんばんご)。
気質

「気質」と書いて「カタギ」と読む。考えてみればこの読み方も変。「キシツ」と素直に読めばいいものだが、なにゆえに「カタギ」になってしまったのか。

1885(明治18)年までさかのぼると、坪内逍遥は『当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ)』という本を書いた。さらに時代をさかのぼると、江戸時代には「気質」という言葉が流行語だったようだ。
江戸時代の出版界では「気質物」といわれる一連の小説がもてはやされていたみたい。『世間子息気質』『世間娘容気』『浮世親仁形気』などとある。カタギの漢字は「気質」「容気」「形気」といろいろでも全てカタギと読んだという。そして、これらの小説の内容は「いまどきの息子は、娘は…」というものだ。

さて、「気質」も「容気」も「形気」もすべてカタギであった江戸時代から、さらにさかのぼって鎌倉時代。
当時の辞書である『字鏡』に、カタギは「形木」としてすでに載っている。その意味は「模 法ナリ形ナリ象(かたち)ヲ取ル也。加太木」と説明されている。
「形木」とは、さまざまな模様を彫った木の面に糊をおき、布に貼ってその上から染め付ける型染め用の木型、すなわち形木をさすようだ。

さらに古く平安時代。『宇津保物語』には「形木の紋を織りつけたるみ狩の法衣」という一文があって、ここに形木が登場する。『枕草子』にも「なまめかしきもの」の条、第90段に「かた木のかたは絵にかきたり」とあるのが形木だという。これらの舞台は全て京の都と考えられる。

平安時代、すでに行われていたという型染め技術。カタギのルーツは、京の染め織りの歴史にあった。
そういえば「形木」は染織だけではない。京のお菓子づくりにも、菓子木型という精巧な「形木」がある。出版に使われた版木も「形木」の一種
。こうして京の職人たちがつくりあげた一定の型、規範をさす「形木」が、次第に実物から離れて「形気」「容気」となり、やがて目には見えない性分・気質をさすようになった成り行きは京の職人気質を思えば手に取るようによくわかる。

カタギは京の職人にはじまり、江戸にでて流行語となり、平成の世に再び職人世界に落ち着きつつある。現在「気質」といって、京の職人気質が思い浮かぶのは、語源がえりしているということか。いずれにしても「気質」は、意外なことに語源が京都にあった言葉のお話vol.16…今京都。前回の語源は「金輪際」(←クリック)。※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。
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