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がさ

投稿日時 2010-2-24 0:00:00
執筆者 rrb

がさつく人。落ち着きのない人。「あの子はガサで落ち着いて勉強できひんのやないか」「あの娘ガサやけど、よう気がつくのや」形容詞はガサイ。のろくて鈍いさまをグズイといい、そういう人をグズと呼ぶ構成と同じ。ガサツクは、がさがさするの意味で、「箱の中でカブトムシがガサツイてるわ」のようにいう。雑草や雑木の密集地はガサワラというが、ガサは擬態語。ワラは「原」から。(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)

見(いちげん)さんおことわり
「一見さんおことわり」とは、初めてのお客様だけでのご来店はおことわりします、という意味で、主に祇園のお茶屋さんなどで行われているシステムだ。祇園に芝居の『忠臣蔵』でも有名な一力(いちりき)というお茶屋さんがあり、「一力につれてってえな」「つれてったる、前まで」という笑い話があり、そのお茶屋さんにはお馴染みさんの紹介が無い限り、中に入れてもらえない。表面的には、京都の商売はお客様を差別しているように捉えられるかもかもしれないが、決してそうではない。本当は、お客様により満足してもらい、幸福感を味わっていただきたいと願う京都商法の原点ともいうべきものである。京都はお馴染みさんともご贔屓さんともいわれる顧客をとても大事にするところ。大切な時間を割いて来ていただいた客に楽しいひと時を過ごしていただけるように最大限の努力をする。そのために、一見さんをおことわりしているともいえる。



商売の常道からいえば、不特定多数の人々にご来店いただき、売り上げを上げることが最も大切だと考えられがちだか、そこには本当の意味でのサービスが存在しないと京都の商売人は知っている。京都でいうところの本当のサービスとは価格競争でもないし、うわべだけの美しい言葉や笑顔でもない。お客様の好みなどをしっかり把握し、その人に合わせた対応、もてなしをするのが最高のサービスだ。客のお好みの部屋を用意し、掛け軸や花を選び、その客が本当に満足するように心くばりをする。
一見の客を粗末にするということではなくて、一見さんにはおもてなしをするデータそのものがない。京都の商売は一過性のものを好まない。たとえ細々であっても、長く続けていくことが一番大切だと思っている。客とのつきあいを長く続けていくことに神経を使い、その客の要望に応えていきたいと願っている。京都人は商売が下手だといわれるが、むしろそういわれることに誇りを持っている。



京都ならではの「一見さんおことわり」。こんなところにも京都人の気質を見出すことができると思うし、マニュアル化されすぎたサービスが少しずつ見直されてきた昨今、京都のサービスの心と知恵を的確に把握することが、21世紀においても商売人として確実に生き延びることが出来る最良の道だと思う。そういえば、行きつけの店は客の口に併せて味付けなどを変えていた…今京都。


 




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