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やどばいり

投稿日時 2010-2-4 0:00:00
執筆者 rrb
どばいり
奉公人が別家すること。宿は「わが家」の意味。自分の家に入り独立する「宿はいり」から。室町では奉公人の番頭が別家すること。昔は年季を勤めた者は別家して、世帯を持って本家に通勤した。優秀な者は、独立して商売をする「独立別家」になった。戦後は別家制度は一部を除きなくなった。また、奉公人が休日に実家に帰ることにもいった。「昔はヤドバイリで家に帰れるのがうれしかったもんや」(『京都新聞・折々の京ことば』堀井令以知より)

ごめかごめ(童謡物語第15弾) vol.4 vol.3はここ(←クリック)
今から220年以上も前に出ている本の中でも、すでに昔々より言い伝わる歌だったということがわかる。この黄表紙に書かれている「かごめ」はなんと「籠女」の字で表記されている。つまり、籠から出られない遊女のことを歌っている歌だとされているのだ。「囲う」にも妾として妾宅に置くという意味があるし、「江戸語辞典」によれば、さらに「籠」は遊郭を意味するるともある。また「籠の鳥」とは、籠に入れられて飼われる鳥のことを指す一方で、身の自由を束縛されている者、とくに遊女のことをいうとしているのだ。
 ♪ かごの中のとりは いついつでやる
遊郭に身売りされた娘は、いつになったら出て来られるのだろう、と親兄弟が案じている歌だと解すのである。続く、
 ♪ 夜明けのばんに
とは黄表紙の説明によると、「夜のうちやりし」となっている。「うちやりし」は、そのままにしておくこと、投げ捨てておくことの意味となる。つまり夜になっても、そのまま遊郭から出て来られない様ということになるわけだ。「ばん」を「晩」とし、「夜明けの晩」で明け方のまだ暗い時分を指しているという見方も一般的。また「ばん」を「番」として、遊郭から逃げ出さないように寝ずに見張る番兵、門番のこととする説もある。



さて、夜明けのばんにとうとう
 ♪ つるとかめがすべった
この部分は「すぺった」や「つぅぺった」となっている地域もある。この鶴と亀を罪なき牢人になぞらえたとの言い伝えも残る。これは隠れキリシタンのことらしく、牢から放たれた鶴亀、よき人たちという意味に解釈するのだ。しかし黄表紙にはこの部分が
 ♪ つるつる つはいれ
となっている。なんと、ここは鶴のみで亀の存在はない。果たして遊女が夜明け前、または番兵の目を抜け、逃げるとなれば亀と一緒では都合が悪い。ひとりで逃げるより見つかる確率も高い。鶴は普通「鶴の恩返し」などから見ても、その美しい姿、白いあで姿などから女性を表すことが多いが、亀はその形が男性器に似ているため男を表わすことになる。客と逃げたということになるのか?



しかし、亀は足が遅いのが相場だから、逃げるには足手まといなはず。これはおそらくはじめは
 ♪ つるつるつはいれ
または「つぅぺった」だったものが、慶事の印、鶴に亀の対語で時を経て、こう歌われるようになってしまったのではないかと思われる…今京都。 ※写真と本文は関係ないのであしからず。


 




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