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下馬評

投稿日時 2009-2-14 0:00:00
執筆者 rrb
ばひょう…直接関係のない人による勝手な批評。世間の評判。
◇ちょっと予備知識 → 下馬先で供の者が主人を待つ間に噂し合ったことから。
                類義語に世評(せひょう)・風説(ふうせつ)・巷説(こうせつ)がある。


みやげ  (旧フォトヴィレッジ 2007年7月23日掲載)
「おみやげ」はどうして「お土産」と書くのだろう。そもそも「みやげ」って何のこと? ちょっと出かける際でも「おみやげ待ってるからねぇ」などといわれる。これほど身近な言葉なのに意外と語源がわからないもの。調べてみると「みやげ」と「土産」は、もとは別の言葉だった。



「みやげ」の語源は「都笥(みやこけ)」「宮笥(みやけ)」にあるという。「笥(け)」は物を入れる器や箱の意味で、「都笥」は都から、または都へ持参した贈り物。「宮笥」は神社へお詣りして家に持ち帰った、あるいは親族や友人に贈った贈り物のこと。いっぽう「土産」は中国から入った漢語で、鎌倉時代に書かれた『平家物語』の中にすでに「とさん」という日本読みがでている。その意味は土地の産物、またはその贈り物。という訳で、もともとあった「みやげ」という言葉に、同じような意味をもつ感じの「土産」を、いつのころから当て字したということになる。



「紅葉」を「もみじ」と読んだり、「時雨」を「しぐれ」と読んだりするのと近い。語源を調べるときによく使用している辞書は『日葡辞書(にっぽじしょ)』。この辞書には「みやげ」と「土産」は別々に納められている。江戸期の『安斎随筆』には、「土産」は「古語には「つと」といふ。都のつと、家づとなどといふ。今世みやげといふに同じ」とある。どうやらこの時代から「みやげ」と「土産」が一体化していったような感じがするね。
「つと」とは藁苞(わらづと)などといい、藁などを束ねて包んだもの、または包みを携えてゆくその地の産物をさす。万葉集にも見られるほどの古語なんだよ。それからすると「土産」を「つと」と読ませてもよかったのではないかとも思う。「苞(つと)」と「笥(け)」はその意味も漢字もよく似ている。都の苞があれば都笥(みやこけ)がある。いずれも「おみやげ」とその入れ物である箱や包みをさす言葉。おみやげものと箱や包みは切っても切れない間柄にあったということ。



都からの持参した贈り物「都笥(みやこけ)」から「みやげ」「土産」となったというお話。意外なことに語源が京都にあった言葉のお話vol.5(改訂・再掲)…今京都。 ※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。
★前回の京が語源「くわばら、くわばら」はここ(←クリック)


 




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