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大立者

投稿日時 2009-1-29 0:00:00
執筆者 rrb
おだてもの…その会社の最も力があって、重んじられる人物。
◇ちょっと予備知識 → もともとは、一座の中でも最も優れた役者のことをいった。「大立物」と書くのは誤り。
                類義語に大御所(おおごしょ)・重鎮(じゅうちん)・巨頭(きょとう)がある。
                対義語は小者(こもの)。

ため・おうつり
結婚・出産・新築などの祝い時に、いただいたお祝い金の一割を返礼としてお返しすることを、また、そのもの自体を「おため」「おうつり」という。こういった作法は京都だけに限ったものではなく、全国各地に見られる。ただし、大阪や滋賀の一部の地域を除いて、他府県ではお金を返すという風習はないと聞く。



お隣の家からおはぎ等を頂戴した時、その器に半紙を入れてお返しするといったことは、どこの地方でもあると思う。この時の半紙(和紙)のことを「おため紙」といい、「溜紙」「御溜」とも書き表す。また、この紙のことは移利(うつり)紙とも、また結婚時のものに限って夫婦(みょうと)紙・和合(わごう)紙・抱き合わせ紙とも呼ばれている。現代では、その言葉の混乱をなくすために、紙のことを「ため紙」、一割を封入するお金包みのことを「うつりの金封」と一般的にそう呼んでいる。



このような作法がいつ頃からはじまったのか定かでないが、京都からはじまったものであることだけは確かだという。京都では結婚・出産・新築などのお祝いを頂戴すれば、一帖(20枚)の半紙(おため)と共にお祝い金の一割を金封(おうつり)に封入し、その場でご持参された先様の広蓋や進物盆に入れてお渡しする。



おため紙をお渡しするということは、平たく言えば「当方にまた祝いごとがあれば、その折には今お渡しした紙に包んで次もお祝いしてくださいね」ということを表現したもので、「お宅様と当方とはこれから先も縁が切れず、おつきあいをつづけていきましょう」というそんな気持ちを半紙一帖に託している。



また、一割を封入したおうつりの金封もよく似たことで、「当方の慶びごとの縁が、オタク様にもうつりますように」といった意味が込められている。それに祝い金の一割を封入することにもまた理由がある。返礼としていただいたおうつりの金封の中身に千円札が入ってあれば、間違いなく先様に一万円のお祝いをお渡ししたという確認ができる。文章で書き表すとなんだか複雑この上もないように思われるが、京都では誰もが心得ている作法であり、日常的にごく自然になされている。



昔から京都人はバランス感覚が非常に優れていて、どちらかに片寄ることを好まない。頂戴したらすぐに返礼をすることで、お付き合いのバランスを保ってきた。「おため」「おうつり」は、先様の心を気持ちよく頂戴するために考え出されたものであり、人と人とのつながりの大事さを伝えていくためのものであるという京都の文化のお話…今京都。 ※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。


 




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