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四方八方
投稿日時 2008-8-22 0:00:00
執筆者 rrb
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しほうはっぽう…あらゆる方向。あちらこちら。 ◇ちょっと予備知識 → 「四方」南北の4つの方角。 「八方」は、四方にさらに北東・北西・南東・南西の4つを加えたもの。 ここからあらゆる方向のこと。 類義語に四方八面(しほうはちめん)・四面八方(しめんはっぽう)がある。
歩く ふらっと入ったお店で、お客さんとお店のご主人がこんな話をしていた。 「京都の町には別に交通が便利にならんでもよろしおす。ましてや高速道路が町の真ん中に走るなんて大反対どす。駐車場がないとか、車で観光がでけへんと言わはりますけど、そんなのは観光客の言い分です。駐車場がないさかい京都らしさが残るんで、車がはげしく行き来するようになったら、お寺のよさもなくなるし、地蔵盆もできんようになります。京都のことをほんまに知ろうと思うて観光しはるんやったら、車を使わんことをおすすめしますわ」 という内容である。

常に歩くか自転車で京都をウロウロしている自分にとっては、全くもって同感である。自動車を機械と考えるなら、京都は機械優先ではなくとにかく人間優先だといえる。人々とのふれあい、人々とのかかわり、人々との交流のために利便なところであって、そこに路地を舞台にした京都の生活も、また観光も成り立っているのではないかと思う。

少し話は横道にそれるが、劇場にも駐車場がないと聞いた。京都の南座を筆頭に、大阪の松竹座、新歌舞伎座、名古屋の御園座、東京の新橋演舞場、歌舞伎座、明治座、すべて駐車場がない。役者さん用のはあってもお客さん用のものはない。あえてつくっていないという。

理由は、芝居を見終わった余韻が、車で帰るといっぺんに途切れてしまうからだという。三三五五、芝居の話をしながら帰るからこそ余韻を楽しむことができるのだという狙いである。

京都人はお客をもてなすとき、この余韻を大切にする。そしてそれは京都という町が観光客を迎えるときも同じだという。 たとえば清水寺近くの駐車場に車を入れたら、帰りも清水寺から帰らなければならない。ところが、本来はそうではなく、清水寺から産寧坂、二年坂を歩いて八坂さんのほうまで行くのがひとつのコースである。 ゆっくり散策することで、東山周辺のすばらしさがわかる。嵯峨野でも嵐山から大覚寺まで行くすばらしいコースがあるのに、車があると化野念仏寺のほうまで行かずに途中で引き返して車で帰ることになる。

京都は車が似合わないところ。車で行くと京都の風情ある路地も小道もあるくことはできない。 車社会といわれる昨今であるが、京都ではとにかく歩くか、自転車をお奨め。そうすることで京都の本当のよさや魅力を発見することができるという京都の文化のお話…今京都。 ※写真は京都の町並みで本文とは関係ないのであしからず。

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