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天使突抜

投稿日時 2017-9-6 0:00:00
執筆者 rrb
京の町を散策していると、普通ではお目にかかれない奇妙な地名や通り名に出会う。その代表のひとつが「天使突抜(てんしつきぬけ)」である。五条通の北、西洞院通と油小路通の間を南北に走る東中筋通に沿って、天使突抜一丁目から四丁目までの町域が広がる。東中筋通も、かつては天使突抜通と呼ばれていたという。

突抜とは道の先端をさらに先へと延伸して生まれた道路名のことだが、問題は「天使」である。「天使」とは何を指しているのか。「天使」と聞いて、まず思い浮かぶのがエンジェルであるが、ここの「天使」はエンジェルではない。松原通と西洞院通が交わる交差点の南西に鎮座する五條天神宮のことである。

五條天神宮は、平安時代、弘法大師空海が開基したと伝わる古社である。社伝によると、794(延暦13)年、平安遷都にあたって大和国宇陀郡から天神が勧請された。ここから当時は「天使社」と呼ばれ、現在の東中筋通はなく、そこは境内であった。しかし、豊臣秀吉の京都の都市改造によって、五條天神宮の境内を貫通させるように一筋の道を通した。「天使社」を「突き抜いて拓いた」ことから、「天使突抜」という地名が誕生したのである。

天使突抜以外にも、上京区には「木下突抜(きのしたつきぬけ)」や「社突抜(やしろつきぬけ)」、中京区には「越後突抜(えちごつきぬけ)」などの地名も残るが、それらはまたの機会に…という今京都。






《京都・下京区》

五條天満宮は牛若丸と弁慶の対峙場所との説があると以前取り上げたところだよね





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