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自然淘汰

投稿日時 2008-4-29 0:05:46
執筆者 rrb
ぜんとうた…環境や自然条件に適合した生物は生き残り、そうでないものは自然に滅びていくということ。よいものは残り、悪いものは消えていくということ。
◇ちょっと予備知識 → ダーウィンが進化論で用いた語(natural selection)の訳。
                「淘」「汰」は共に選び分けること。
                類義語に自然選択(しぜんせんたく)・適者生存(てきしゃせいぞん)がある。
                対義語は人為淘汰(じんいとうた)。

田寺(矢田地蔵) vol.1
寺町通の喧騒の中にある矢田寺は地蔵菩薩像を本尊とする。絵巻物「矢田地蔵縁起」(重文、室町時代)をもとに、江戸時代後期に作られた木像で、1ヶ月で10,000人の参拝者が訪れるという。



生きとし生けるものを地獄の苦しみから救ってくれるという地蔵信仰は、今も受け継がれている。



厨子に安置されている地蔵菩薩像。実は手動のエレベーターで上下する。戦前まで、毎晩、地蔵菩薩像を耐火レンガの地下室に下ろしていた。レバーをくるくる回すとお地蔵さんが下がっていくそうだ。何度も大火に見舞われた京都ならではの工夫だといえる。



「矢田地蔵縁起」の物語は、死後の世界をつかさどる閻魔王の悩みから始まる。世の中に苦しみが蔓延していて、それがかえって自身の身の災いとなっていたため、閻魔王は受戒を決意。
平安時代初期の朝廷の高官・小野篁に相談すると、篁は「受戒するには当代切っての僧侶、満慶上人がよい」と答えた。



満慶は、大和国(奈良県)の矢田寺の高僧。閻魔王は使者を遣わし、満慶を迎えて悩みを打ち明けると、満慶は戒を授け、閻魔王の心を癒した。



喜んだ閻魔王がお礼をしたいと申し出ると、満慶は地獄を見たいと言った。閻魔王が地獄の鉄扉を開けて案内した。燃え立つ炎の中に湯が煮立った釜があった。
そこには、生前の悪業によって人が次々と落ちてきた。うめき声が響く、まさに地獄絵巻だった。



ふと見上げると、一人の僧が奔走している。地蔵菩薩だった。満慶が話しかけると、地蔵菩薩はこう答えた。
「現世に戻ったら、私に似せた像を作りなさい。そして像を拝み、私と縁を結びなさい。一毛の縁もなければ、地獄の衆生を救うことができないのだ」と。
縁起に描かれたのは、地蔵菩薩の「救済仏」としての姿だった。



近年、矢田寺では絵巻物の模写を使って絵解きしているという。地蔵には『代受苦(だいじゅく)』の御利益がある。
子どものためだけのお地蔵さんではない。
京都の辻々に置かれている本来の理由を忘れないで欲しいと思う…今京都。(続く)


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