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豊園水/秀吉愛した味、今も

投稿日時 2017-2-2 0:00:00
執筆者 rrb
地下鉄四条駅に近い仏光寺通を烏丸通から東に歩くと、街のざわめきの合間をぬって、さらさらと水音が聞こえてくる。豊臣秀吉が茶の湯に愛用したと伝わる「豊園水」。この水がわき出す井戸はもともと、秀吉の別邸・龍臥城の敷地内にあった。町衆が明治初期に建てた旧豊園小の敷地内で地域によって守られてきたが、約40年前に地下工事の影響などで枯れ、その後、跡地にある洛央小が復元した。

地下30mから太陽光発電のポンプで水がくみ上げられ、小川のように流れている。コイやハヤも泳ぎ、道行く人も思わずのぞき込む。「埋もれかけていた歴史を地域のみんなにも知ってほしかった」。発案した人の想いはそういうところにあるのだろう。

1898(明治31)年に町衆が井戸を改修した当時のつるべが、洛央小敷地内にある豊園自治連合会館のガラスケースに保存してある。直径は約30cm。江戸時代末期の陶製とみられ、所々が欠けているが白色の表面に梅や松とおぼしき絵柄が描かれ、味がある、と聞く。

いつのころに書かれたのか定かではないが、黄ばんだ添え書きには次のようにある。「徳川時代には遊園地となり、林下に花を賞(め)で清泉をくみ詩情を味(あじわ)う粋人、墨客の遊ぶ者多かったと伝わる。昭和7、8年までは良質の水が出たといわれている」と。

小川の隣には蛇口があり、飲むこともできる。地域住民がペットボトルで持ち帰ることもあり、その味は、冷たすぎず、まろやかな口触りということだ。秀吉もこの風味に魅了されたのだろうか…という今京都。


《京都・愛宕念仏寺》

京都は地下水が意外と豊富やね





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