走れメロス
投稿日時
2016-3-8 0:00:00
執筆者
rrb
太宰治は人物の描写が見事である。人間理解力が優れているのであろう。人物を動く彫刻のように、リアリティをもって描き出すという高い技術をもっている。そして、テンポの良い言葉遣いと、躍動的な息遣いが感じられる。文章は、水が流れているような、畳み掛けるような文体である。文が転がって次々とつながっていくような感じである。
メロスは激怒した。必ず、かの邪知暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人(ぼくじん)である。
これは、太宰の代表作である『走れメロス』の冒頭である。そして2年前とは違う、活気のないシラクスの市(まち)に異変を感じ、老爺(ろうや)に理由を聞くくだりがあり、
聞いて、メロスは激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」
となる。この部分からも、メロスは邪悪に対して人一倍に敏感であり、単純な人物であることもうかがえる。「メロスは激しく怒った」ではなく、「激怒した」という表現は、誰の記憶にもとどまる表現である。そして、冒頭と同じくらいにステキなのが最後。
勇者は、ひどく赤面した。
である。激怒に始まり、赤面で終わるのが「走れメロス」である。何よりも、主人公が読者に語りかけてくるような文体な魅力的である。
題の「走れメロス」というのもステキだ。「走るメロス」でもなく「走ったメロス」「急いだメロス」でもない。「走れメロス」なのである。誰目線の題なのか、と考えるが、文中に「走れ! メロス」「急げ、メロス」と、メロスが自分に言い聞かせるような部分がある。そこから題がきているのだろう。いずれにしても、久々に読むと面白い……ということで、どうも、おやかまっさんどした。
走れメロス…いいねぇ…撮れrrb…なんてのもいいのでは?
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