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言葉

投稿日時 2012-3-9 0:00:00
執筆者 rrb

「森の生活」を書いた米国の随筆家ソローは忘れがたい言葉を多く残した。たとえば、「ほんの一瞬でも、お互いの立場から世界を見ることができれば奇跡が起こるだろう」。とかく自分の立場にこだわりがちな人間への、時代を超えたメッセージと読める。
以上は、天声人語(朝日新聞、2012年2月10日)からの引用である。今日は「言葉」「ことば」について考えてみる。
私たち人類が、他の生命体と最も異なるのは「言葉」を使うところだろう。『広辞苑』で「言葉」を調べると、「ある意味を表わすために、口でいったり字に書いたりするもの。語。言語。」とある。

かつての偉人は数々の含蓄のある言葉を残している。今、本屋さんに、たくさん並んでいるピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)の言葉などもそうだ。天声人語の記事をきっかけに、『ソロー語録』(文遊社)なるものを買った。124ページもので1600円(税別)。ちょっと高い買い物だ。



ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry David Thoreau)は、1817年アメリカに生まれる。ソローは、詩人、作家、思想家、ナチュラリストなど多彩な顔をもつ。また、ソローの言葉は、誰よりも深く考え、実践し、今日の自然保護思想・政治思想などに大きな影響を与え続けているという。

その本の、あるページに、「自分自身を知ることは、振り向かずに後ろを見るのと同じくらい難しい」という言葉がある。言われてみれば簡単で納得できることであるが、「振り向かずに後ろを見る」ということをもってくることができるかどうかが問題だ。このあたりに非凡さを感じる。日常的に使っている言葉であるが、深く考え、選んで使用することは少ない。言葉を考えて選ぶという行為は、とても重要であると気づかされる。

しかし、一方、現代社会では、その言葉が乱れていると指摘されている。私たちは自分の思いなどを言葉でしか伝えることが出来ないのに、その言葉を真摯に扱っていないのではないか。人が発する言葉は、その人の心を100%表わすことができないのも事実である。だからこそ、言葉の重みや大切さを、もっと理解していく必要があるのではないだろうか。

私たちは言葉によってしか生きられないのである。たった一言が人を傷つけることもあれば、人の胸を打つこともある。私たちは今一度、言葉が持つ力について再考すべき時にきているのではないか。



ソローは言う。「重要なのは、何を見るかではなく、何が見えてくるかである。」と。
さらに言う。「何も変りはしない、変るのは僕らだ。」と。
もっと心に響く言葉があった。「友人のために僕ができることは、ただ彼の友達でいることである。」と。
あえて解説の必要はない言葉だ。特別に何かをする必要はなく、ただただ友達でいつづけることが大切なことだ。

私たちが言葉の使い方を正すだけで、言葉の乱れが指摘されている現代社会を変えることができるのではないだろうか…と、天を仰いで思うこと。


 




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